オープンバンキングの「次」を読む──PSD3と日本のAPI戦略
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オープンバンキングの「次」を読む──PSD3と日本のAPI戦略

鈴木 理恵

2025年後半に欧州委員会が公表したPSD3(Payment Services Directive 3)草案は、オープンバンキングの次のフェーズを明確に示すものでした。PSD2で導入されたAPIアクセス義務はさらに拡大され、決済口座だけでなく貯蓄口座・住宅ローン情報まで対象に含まれる見通しです。

日本でもAPI連携は着実に進んでいますが、欧州と比較するとAPI仕様の標準化やサードパーティプロバイダー(TPP)のエコシステム構築で差が開いています。全銀協のAPIガイドラインは任意規格にとどまり、金融機関ごとのAPI仕様のばらつきが開発コストを押し上げています。

PSD3で注目すべき変更点は3つあります。第一に「データ共有フレームワーク」の導入。FIDA(Financial Data Access)規則との統合により、銀行だけでなく保険・年金を含む包括的な金融データポータビリティが実現します。第二に、決済詐欺への対応強化。リアルタイム決済における送金者・受取人双方の本人確認が義務化されます。

第三に、APIパフォーマンス基準の厳格化です。PSD2では「専用インターフェースの品質が自社チャネルと同等であること」という曖昧な要件でしたが、PSD3では応答時間・可用性の数値基準が設定される方向です。日本の金融機関も、将来的な国際基準との整合性を見据えた設計が求められます。

当研究所では、国内15行のAPI提供状況を比較分析したレポートを近日公開予定です。技術仕様だけでなく、ビジネスモデルの観点からも「APIで何を稼ぐか」を整理しています。

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