Quantum Finance Summit 2026 レポート── 量子技術は金融をどう変えるか
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Quantum Finance Summit 2026 レポート── 量子技術は金融をどう変えるか

編集部

4月1日〜3日にかけてシンガポールで開催されたQuantum Finance Summit 2026には、世界30カ国から約1,200名の参加者が集まりました。当研究所からはM.チェン博士が基調講演を行い、金融最適化問題における量子アニーリングの実用的な適用事例を発表しました。

今年のサミットで最も議論を呼んだテーマは「量子耐性暗号(PQC)への移行」でした。NISTが標準化したCRYSTALS-KyberやCRYSTALS-Dilithiumへの移行計画は、多くの金融機関でまだ初期段階にあり、特にHSM(ハードウェアセキュリティモジュール)のファームウェア更新やTLSプロトコルの対応が課題として挙げられました。

ポートフォリオ最適化への量子コンピューティングの応用では、IonQのトラップイオン型量子コンピュータを用いたデモンストレーションが注目を集めました。60量子ビットの実機で、古典的なソルバーでは数時間かかる組み合わせ最適化問題を数分で近似解を得ることに成功しています。

ただし、登壇者の多くが口を揃えて述べていたのは「量子優位性の実現にはまだ3〜5年かかる」という見通しです。現時点では、量子-古典ハイブリッドアルゴリズムによる段階的な導入が現実的なアプローチとされています。

会場では日本からの参加者も多く見られ、特にメガバンクや大手保険会社のR&Dチームが積極的にネットワーキングを行っていました。来年は東京での開催も検討されているとのことで、日本の金融×量子コミュニティの盛り上がりが感じられるサミットでした。

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